前回の
住宅着工戸数大幅減?には、建築士の方々から思わぬ非難や反論を頂戴しました。
いただいたコメントからいろいろ調べてみると、
国土交通省による建築士いじめとしかいいようの無い実態があるんですね。
今年6月20日から施行された改正建築基準法は構造計算偽装事件に端を発しています。
建築確認申請における設計図書や申請手続きに、偽装などの不正行為を防ぐ為に厳格化を図るのが改正の目的です。
ところが、厳格化を実施する為には、法令のみでは無く、申請書類の様式や審査の基準や手順といった手続き上の細かなことがあらかじめ決められていないと、確認業務自体がスムースに進みません。
それらの細かな部分を何も決めずに改正法をスタートさせてしまった!
その為、建築業界に想像以上の混乱が生じている!というのが現状です。
- 確認申請を提出しても審査が進まない
- 期限が過ぎても確認が降りない
- 確認が降りないから着工できない
といったことから、もっとひどいのは
- 行政側の体制が出来ていないので申請を手控える
- 民間確認機関では申請受付を拒否している
ということまで起きているようです。
戸建住宅は4号物件といわれる区分で、それほどの混乱は無いようですが、それ以外の物件については、以上のような状況にあるようです。
この状況の中で、一番困っているのが設計・確認申請業務を行う建築士なんですね。
本来すべき仕事が、行政によって阻まれている。
しかも、行政手続き上の整備が為されていない事が原因となると、
これは、
建築士いじめのなにものでもない!!建築確認という制度
建築確認という制度は、これから建てようとする建物が、建築基準法で定められている基準に合致しているかどうかを、行政が確認するものです。
似たような制度に、許可というものがあります。
開発行為や、宅地造成などを行う時は、許可を得て工事に着手します。
言葉のニュアンスとしては
許可は非常に強い権限を感じさせますが、反して、確認は
『確認しました!』という、許可よりは権限の弱い手続きが本来の姿です。
しかし、現在の建築確認手続きは、許可以上に強い規制と行政権限を感じさせます。
設計の主体性がどちらにあるのか?という観点からいうと
許可はいわゆる
行政のお墨付きのようなものですから、設計内容についての主体性(責任性)は行政に多くあります。
確認は
設計者に主体性があり、行政は
第三者的に確認を行う。
許可と確認には以上のような違いがあります。
ところが建築確認の現状は
行政が責任を持つわけでもなく、何かあった時に・・・・・
確認は完璧に行いましたと言い逃れをする証拠作りのための手続きが、行われているように思えます。
戸建住宅と確認申請
前回の記事中『駆け込み申請』を行う背景としては、いくつかあると思います。
- 改正基準法では申請手続きが煩雑となる
- 改正基準法では確認通知までに時間がかかる
- 改正後では、わずかな変更も出来なくなる
などでしょう。
これらのことが、建主にとってデメリットとなるのは、
例えば
引渡し時期が事情によって、延期できない方もいらっしゃいます。
そのような方にとっては、着工時期が大変重要なこととなります。
着工前の準備が充分に出来た方は別として、充分に出来なかった方にとっては、業者選定を含めて大事な決断を短時間で行うことになった方もいらっしゃるのだと思います。
大事な決断とは、ハウスメーカー・ビルダーにとってはクロージングを指します。
クロージング時に『改正前に申請しましょう!』という決めセリフが無かったとは言えないのではないでしょうか。
本来は建築基準法改正と業者選定とは、まったく関連の無い事です。
それがリンクされて、クロージングのキーワードになってしまい、誤った選択をした方がいなかっただろうか。
ということを危惧しています。
住宅営業という世界は、非常にナチュラルに進行していき、やがて『あなたにおまかせします!』というのが理想的な姿です。
しかし、競合があり、着工数の減少に伴って、受注量確保にしのぎを削っている状態の中で、信じられないような営業手法が使われているのも現実です。
基準法改正というタイミングによって、建主が誤った選択をしてしまった、という事があったのではないか?
営業の現場は一種の心理戦です。
基準法改正がその心理戦の武器になったのではないか?
駆け込み申請の中にそんな建主がいたのではないか?
そんな選択をされた方がいなかったことを祈ります。