瑕疵保険制度がスタートして

瑕疵担保履行法にもとづく瑕疵保険制度が本格的にスタートし、ある程度の現状がわかってきました。
瑕疵保険に加入する方法を選択したのは中小のビルダー・工務店で、大手ハウスメーカーは供託金制度を選択したようです。

大手ともなると、10万円弱の保険料でも年間棟数が膨大ですから、巨額の経費発生となります。
その点、供託金は経費ではなく「預け金」ですので、金利のつかない貯金をしていると思えば、決算上はこちらの方が有利になるわけです。

実際の現場では、瑕疵保険会社の検査が性能保証の検査よりも簡略化されているため、懸念する声が多いようです。

保険に入っているから安心とはいかない事情が出てくるかもしれません。
それは、将来的に瑕疵保険を適用して補修工事を行うことになった時、瑕疵の原因が施工店による工事不備であった場合に、保険が適用されるのかという心配です。

保険会社は「検査を行うことによって一定の技術レベルに裏づけされた住宅」との認識で保険を引き受けるわけですが、検査内容が簡単なため、重大な欠陥に気づかず保険を引き受けることもあります。

そのような場合、本来であれば施工店の責任となるものが、倒産しているため保険適用しか建て主の救済方法は無いのですが、保険会社の立場から見ると、錯誤による保険引き受けであって、補修の責任は倒産した施工店にあり、保険の適用は不可能である。

などといった事例が出てくるのではないか・・・と考えられるわけです。

始まったばかりの制度ですので、今後の成り行きを見なければなりませんが、保険があるから安心だとは言えないことを理解しておいた方がよいように思います。
posted by イソップ at 13:11 | Comment(1) | TrackBack(0) | 欠陥住宅を考える

欠陥住宅が生まれる原因は無責任?

欠陥住宅が生まれる原因のほぼ100%は人為的なことなのですが、原因を作った当事者がまったく認識していないことが多いものです。

具体的な事例を紹介しますと・・・・


ひな壇式の分譲宅地には、擁壁という土が崩れるのを防ぐ壁が設けられています。
擁壁の強度は、横に流れようとする土の重さに耐えるように設計されているのですが、擁壁の上に重量のあるブロック塀を作るようなことは想定されていません。

それを知らずに、造園屋さんが擁壁の上にブロック塀を作ってしまい、その重量によって擁壁が沈下したり、外側に傾いたりすると、住宅の基礎の下にある地盤がゆるんでしまい、住宅が沈下を始めます。

2年ほどして家が傾いていることに気が付いた建主さんは、ハウスメーカーに相談をします。
担当者がやってきて調査をしましたが、原因をはっきりとは特定できません。

住宅の沈下が先に始まり、その影響によって擁壁に力がかかり、擁壁が外側に傾いたことも考えられますが、直接的な原因はブロック塀かも知れません。

沈下してしまった原因を特定することは、非常に難しいことなのです。

造園屋さんにも相談しました。
ところが造園屋さんから返ってきた答えは・・・
『頼まれた通りに塀を作っただけなのですが・・・』というものです。

造園屋さんに、擁壁の強度に対する知識を求めることは無理だったのでしょうか?
タグ:擁壁
posted by イソップ at 09:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 欠陥住宅を考える

地盤沈下の責任は誰に?

愛知県小牧市にある桃花台ニュータウンで発生した、地盤地下による損害賠償請求の判決が先日出ました。
結果は、原告である都市再生機構の訴えが却下され、被告である愛知県が勝訴しました。

却下された理由は時効です。
つまり、責任の所在が不明なまま判決が出されてしまいました。

この問題は、家が傾く現象が2001年に発覚し、住宅を販売した都市再生機構の調査により、造成宅地の地盤が沈下したものとわかり、以後、住宅ユーザーが都市再生機構に損害賠償を求め、都市再生機構は造成工事を行い宅地を販売した愛知県を訴えていたものです。

地盤沈下の原因は、宅地造成前に埋め立てられていた、膨大な量の産業廃棄物らしいのですが、愛知県は認めていません。
土壌からは、鉛や水銀、ヒ素といった有害物質が検出され、マスコミにも取り上げられ大きな問題となっていました。

結果は、時効であるとの判断により、都市再生機構の言い分が棄却されたわけですが、地盤沈下の責任はいったい誰にあるのでしょうか?


桃花台ニュータウンは1988年から分譲が開始されたとありますが、沈下の現象が現れたのが2001年です。すでに12年が経過していることが、より原因や責任の所在をわかりづらくしています。

一般的には、住宅を建築する場合、地盤の調査はスウェーデン式サウンディング法によって行なわれています。都市再生機構がこの方法で地盤調査を行なったかどうかは不明ですが、標準貫入試験と異なり、土質のサンプルを採取するわけではありませんので、信頼性に若干の不安がある調査方法です。

ただ、標準貫入試験は費用がスウェーデン式サウンディング法に比べると数倍となり、住宅の工事では使われていません。

スウェーデン式サウンディング法による地盤調査の結果、杭打ち工事などの地盤補強が行なわれていなかったとしても、一概に都市再生機構の責任であるとは言い切れないものがあり、ますます責任の所在を不明にしてしまっているように思います。

また、地盤沈下の原因が産業廃棄物にあるとなれば、単に地盤の補強だけの問題ではなく、有害物質が埋め立てられた環境の中で、今後も生活をしなければならない住宅ユーザーにとっては、もっと問題は深刻なことです。

今後は住民らによる、国に対しての働きかけが始まるようですが、水俣病や四日市の大気汚染など、公害問題とも言える状況になってきます。土壌汚染の恐れがある地域での、宅地開発を行なった愛知県にはまったく責任が無いとは言えないと思うのですが、今後の成り行きを見守ってみたいと思います。
posted by イソップ at 05:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 欠陥住宅を考える
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